昨日、TBSの「夢の扉」にて、「脱石油”人工クモ糸”でモノ作りを変える」とのタイトルにて、人工クモ糸の番組を放映していましたが、この”人工クモ糸”が凄いらしい。
huluでも配信している米国映画「スパイダーマン」がクモの糸を自由に操り、時には重たいものを持ち上げたり、暴走する電車を止めたりするシーンもありますが、実際に人工クモ糸は、鋼鉄をも凌ぐ強さらしいです。
「人工クモ糸」をGoogleで検索してみると、「将来のノーベル賞候補か」の文字も踊っているほどです。
NASAも挫折した、この「人工クモ糸」を世界に先駆けて開発したのが山形県のベンチャー企業であるスパイダーならぬ「Spiber(スパイバー)」です。
昨日の「夢の扉」では、関山和秀さん率いるSpiberが「人工クモ糸」を開発するに至ったドキュメンタリーを放映していました。
さてさて、この「人工クモ糸」の何がそんなに凄いのか、私が記載するのもはばかれるほどの技術ですが、技術云々は別にして、数十年間 生物も化学も勉強したことのない私でも理解できるもののみをご紹介です。
人工クモ糸とは、どんな物?
まずは「蜘蛛の糸」ですが、我が家の小さな庭にも蜘蛛の巣が多数あり、木の枝などで引っ掻き回すといとも簡単に巣が崩れますが、これが意外と頑強であるらしい。この時点で既に驚きです。
実際の蜘蛛の糸・蜘蛛の巣では、昆虫や枯葉などを受け止めていますが、もし直径1センチ程度の太さで蜘蛛の巣を作った場合、民間の飛行機・旅客機を受け止められるほどの強度のようです。
- 強度は鋼鉄の約4倍。重さは同じ強度を持つ鋼鉄の1/6。
- 実際の蜘蛛の糸が伸縮するように、人工クモ糸もナイロンなみに伸縮。
- 耐熱性は300度。(私はナイロンのことには全く素人ですが、耐熱性に優れている「ナイロン66」の場合、融点は265度だそうです)
- このクモ糸の工業化においては、実際のクモは縄張り争い・共食いが激しく、かつての養蚕業のように飼育できないため、クモを用いての工業化は困難であった。
- そこで、人工クモ糸の開発・作成においては、微生物にクモ糸の成分であるタンパク質をつくらせ、ポリマーを化学繊維のように糸にして用いる。この人工クモ糸の量産化技術の開発に成功したのが、先に記載の山形県のベンチャー企業「Spider」社。
- もちろん石油製品ではなく、タンパク質100%で人体にも安全。このため人工血管や手術用の糸としての使用も検討されている。
昨日の「夢の扉」でも、思わず見入ってしまい、また今日も録画したものを繰り返し見ましたが、確かに夢の素材のようです。飛行機や車の素材も、近い将来「人工クモ糸」に置き換わる時代がやってくるかもね。
なんといっても、NASAでさえ挫折した「人工クモ糸」の開発を成し遂げた「Spiber」社の熱意に感服です。思わず、昨日のテレビを見て涙が出そうになったほどです。そのなかで、代表である関山さんの言葉で印象的だったものが以下。
イノベーションはアイデアではなく行動力。会議室からは何も生まれない。
確かにそのとおり。関山さんらの、飲み会での何気ない会話から「人工クモ糸」を開発しようと思いつき、翌日にはクモ100匹を仲間とともに集めたという、その素早い行動力が源になっているようです。
アイデアはあっても、なかなか行動に移せない、また会議でアイデアを発言しても「常識では考えられないから、前例がないから」と否定されることもあるなか、熱意を持って 前進・行動する。つまりは、会議室でワイワイ・ガヤガヤ議論したところで、そこからは議論した・仕事をしたとの感覚はあっても、前進するものは何もない。結局は行動して、初めて前に進む、こんな忘れかけていた事を思い出させてくれるSpiber社、そしてTBSの「夢の扉」でした。
ところで、この「人工クモ糸」を用いた製品ですが、昨日の「夢の扉」でも紹介していましたが「THE NORH FACE(ザ・ノース・フェース)」が既存の商品である「ANTARCTICA PARKA(アンタークティカ・パーカ)」をベースにし「MOON PARKA(ムーン・パーカ)」を発表しています。こちらは2016年中の商品化を目指しているとのことであり、こちらも見逃せないですね。
コメント